シリーズコンサート
小倉貴久子のシリーズコンサート《フォルテピアノの世界》
さまざまな時代や地域で生まれた作品を当時のフォルテピアノで楽しいトークとともにお届けします!
ハイドンの素顔
〜ハイドンをめぐる4種の鍵盤楽器とともに〜
2024年5月8日(水)
19:00開演(18:30開場)
東京文化会館 小ホール
終了しました!
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F.J.ハイドン:
カプリッチョ ト長調《豚の去勢にゃ8人がかり》Hob.17:1
アンダンテと変奏曲 へ短調 Hob.17:6
ソナタ イ長調 Hob.16:26、ホ短調 Hob.16:34、ニ長調 Hob.16:37
《イギリスソナタ》 ハ長調 Hob.16:50、変ホ長調 Hob.16:52
クラヴィーア:小倉貴久子
使用楽器:チェンバロ・クラヴィコード、ヴァルター、ブロードウッド
全席指定 4,500円 U-25 2,500円
*U-25は、25歳以下限定のチケットです。入場時に生年月日がわかるものをご提示ください。
*未就学児の入場はご遠慮ください。
・チケット発売・お問い合わせ
メヌエット・デア・フリューゲル【主催】TEL 048-688-4921 mail: mdf-ks@piano.zaq.jp
こちらの申し込みフォーム(一般/U-25)よりお申し込みください。*前売券の販売は終了しました。
・東京文化会館チケットサービス
Tel 03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp/
・チケット発売
イープラス e+ イープラス内当公演のページ
東京文化会館 小ホール
JR上野駅 公園口改札 徒歩約1分
東京メトロ上野駅7番出口 徒歩約5分/京成上野駅 正面口 徒歩約7分
〒110-8716 東京都台東区上野公園5-45 TEL 03-3828-2111
協力:Ohtagakki Fortepiano
助成:公益財団法人野村財団
後援:東京藝術大学音楽学部同声会/(一社)全日本ピアノ指導者協会
本シリーズは2020年秋に、『ベートーヴェン初期・中期・後期のソナタを3台のフォルテピアノとともに』でスタート。第6回の『モーツァルトが愛奏したクラヴィーアたち』では、幼少期から晩年までのモーツァルトが関わった5台の鍵盤楽器で作品との関係を紐解きました。
大作曲家の生涯とクラヴィーアとの関係の変遷を追うシリーズ目玉企画第3弾は【ハイドン】。盛期バロック時代に生を受け、ベートーヴェンが活躍を本格化させるウィーンで生涯を閉じたハイドンとともに大事な役を演じた鍵盤楽器が東京文化会館小ホールの舞台に並びます。
バロック時代の花形鍵盤楽器【チェンバロ】の典雅な響きは初期作品に美しい彩りとニュアンスを与えます。疾風怒濤期、そして軽快で華やかなソナタは、ウィーン式アクションの【ヴァルターのフォルテピアノ】で、音楽職人ハイドンならではの大胆かつ絶妙なウィットが表現されます。ハイドンの心の内なる深淵な世界の「アンダンテと変奏曲」は【クラヴィコード】の機微に分け入る表現で、その真価が描かれます。後年、産業革命に沸くロンドンで新アクションを備える【ブロードウッドのフォルテピアノ】と出会ったハイドンは、その性能をフルに活かしたダイナミックなソナタを作曲しました。
「戯れ、興奮、笑い、深い感動といったような全てのことを、ハイドンほどうまくできる人は誰もいません」と語ったモーツァルト。ハイドンの作品は未知なる音楽への宝箱のようです。当日、流行作曲家ナンバーワンだったハイドンが愛用した4種の発音も異なる鍵盤楽器で、音楽仕掛け人・ハイドンの素顔に迫ります。ハイドン・ワールドをどうぞお楽しみください。
Cembalo mid-18th century (Joop Klinkhamer)
Clavichord, Ch.G.Hubert 1770s (Kenta Fukamati)
A.Walter 1795 (Ch.Maene)
Broadwood c1800 (repair:Itaru Ohtagaki)
小倉貴久子《フォルテピアノの世界》第11回のプロモーションビデオ!
五月、上野の東京文化会館小ホールで開かれた、フォルテピアノの名手小倉貴久子さんのコンサートに行く。
なにしろこの日は、私の大好きなハイドンのソナタ特集。ハイドンを小倉さんが弾く。約二時間、実に幸福な時間だった。
終わったあとロビーで小倉さんのサイン会があったので、憧れのピアニストに挨拶をし、ベートーヴェンのピアノ・ソナタのCDにサインをしてもらった。
思えば、小倉貴久子さんをはじめて聴いたのはハイドンだった。
一九九六年四月、お茶の水にあった(いまはない)カザルスホールで、ハイドンの「クラヴィア協奏曲ニ長調」に心躍った。以来、小倉貴久子さんの「追っかけ」になった。この日は直接、サインをもらい幸せだった。
《東京人》2024年8月号〜東京つれづれ日誌170/文・川本三郎氏
小倉のシリーズ「フォルテピアノの世界」。第11回は「ハイドンの素顔〜ハイドンをめぐる4種の鍵盤楽器とともに〜」のサブタイトルで、ステージには4台の鍵盤楽器。「調律師泣かせの企画」と小倉はいうが、聴き手にとっては得難い内容。最初はチェンバロで《豚の去勢にゃ8人がかり》。民謡がベースのカプリッチョが、光彩の音色で軽やかに描かれる。ハイドンの初出版譜となったソナタ集は、チェンバロとヴァルターで演奏。「Hob.16:26」(チェンバロ)は、師であるC.P.E.バッハの影響が見られる楽想で、ヴァルターで弾かれた「Hob.16:37、34」の2曲では、随所にハイドンの革新的な手法。後半はハイドン晩年の名作。イギリスで出会ったブロードウッドの性能に歓喜のハイドン。楽器の可能性とハイドンのあふれるアイディアの相乗効果を実感する「イギリス・ソナタ」Hob.16:50。ペダルの効果に後年の作曲家たちを思い浮かべる。コンサートでもよく弾かれる「アンダンテの変奏」は小さなクラヴィコードで。耳をそばだてて聴く、なんとも新鮮な感覚。最後はロマン派を彷彿とさせる、感情豊かな「イギリス・ソナタ」Hob.16:52。小倉はブロードウッドで心の機微まで聴かせた。
音楽の友2024年8月号Concert Reviewsより上田弘子氏の評