シリーズコンサート

小倉貴久子《フォルテピアノの世界》第6回

小倉貴久子のシリーズコンサート《フォルテピアノの世界》

さまざまな時代や地域で生まれた作品を当時の鍵盤楽器とともにお届けします!

モーツァルトが愛奏したクラヴィーアたち

〜幼少期から晩年までの さまざまな鍵盤楽器が勢ぞろい!〜

2022年6月13日(月)

18:45開演(18:00開場)

東京文化会館 小ホール

当演奏会は終了しました。

予告動画!各使用楽器の紹介もご覧いただけます!

W.A.モーツァルト

2つのメヌエット ト長調 K.1e/ハ長調 K.1f

ヴィレム・ファン・ナッサウの主題による7つの変奏曲 ニ長調 K.25

ファンタジー ニ短調 K.397

ロンド イ短調 K.511

ソナタ ト長調 K.283/ハ長調 K.330/変ロ長調 K.333

クラヴィーア:小倉貴久子

使用楽器:チェンバロ、クラヴィコード、タンゲンテンフリューゲル、シュタイン、ヴァルター

全席指定 4,500円 U-25 2,500円

*U-25は、25歳以下限定のチケットです。入場時に生年月日がわかるもの(保険証・学生証など)をご提示ください。

*未就学児の入場はご遠慮ください。

*上演時間は約2時間を予定しています。

[新型コロナウイルス感染予防対策について]

当公演は会場のガイドラインに沿って開催します。詳細についてはこちらのページをご覧ください。

開催の可否・当日券の有無などの情報も逐一こちらのページで報告していきます。

・チケット発売・お問い合わせ

メヌエット・デア・フリューゲル【主催】tel: 048-688-4921  mail: mdf-ks@piano.zaq.jp

こちらの申し込みフォーム(一般/U-25)よりお申し込みください。*前売券の販売は終了しました。

・チケット発売

東京文化会館チケットサービス  tel.03-5685-0650 http://www.t-bunka.jp/

イープラス 当公演のページ

東京文化会館 小ホール

JR上野駅 公園口改札 徒歩約1分/東京メトロ上野駅 7番出口 徒歩約5分/京成上野駅 正面口 徒歩約7分

〒110-8716 東京都台東区上野公園5-45

Tel.03-3828-2111

https://www.t-bunka.jp

協力:久保田チェンバロ工房/Ohtagakki Fortepiano

助成:公益財団法人 朝日新聞文化財団

後援:日本モーツァルト協会/日本モーツァルト愛好会/一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)/東京藝術大学音楽学部同声会


 弦をはじいて発音するチェンバロは、モーツァルトが生まれた時から親しんでいた楽器。幼少期のメヌエットと変奏曲を典雅な響きで奏でます。

 チェンバロのような音色ながら、タッチによる強弱の変化が可能なタンゲンテンフリューゲルは、ザルツブルクで身近にあった打弦楽器です。ト長調のソナタの快活な性格が浮き彫りになります。

 モーツァルトが旅先にも携帯し、生涯愛したクラヴィコード。表現力の優れたこの楽器でのイ短調のロンドは、内面の情感が一層際立ちます。

 アウグスブルクのフォルテピアノ製作家シュタインは、ハンマーの端が跳ね上がって弦を打つ仕組みのウィーン式アクションを発明。ギャラント様式で書かれたハ長調のソナタをシュタインで、モーツァルトの愉しいおしゃべりをお聴きいただきます。

当時のウィーンは、進出の鍵盤楽器フォルテピアノに人々が夢中になり活気に満ち溢れていました。モーツァルトもヴァルターの楽器を購入し、協奏曲を始め多くの傑作を生み出します。変幻自在なニ短調のファンタジーと、モーツァルトの魅力あふれる変ロ長調のソナタ。フォルテピアノをアリアのように歌わせ、敏捷なテクニックで音楽に生命力と輝きを与えたモーツァルトの姿が蘇ることでしょう。

モーツァルトの愛奏したクラヴィーア5台で生涯を辿る贅沢な〈フォルテピアノの世界〉をどうぞお楽しみに!


舞台に並ぶ5台の楽器

〔チェンバロ〕

18世紀半ば作者不詳、アルザス地方(J.クリンクハマー製作)

〔クラヴィコード〕

フーベルト 1770年代(深町研太製作)

〔タンゲンテンフリューゲル〕

シュレーター考案(久保田彰製作)


〔フォルテピアノ〕

J.A.シュタイン 1780年代、アウグスブルク(R.ハッセラー製作)

〔フォルテピアノ〕

A.ヴァルター 1795年、ウィーン(C.マーネ製作)




音楽の友9月号のConcert Reviews

〔鍵盤〕小倉貴久子 fp

 単に楽器に魅せられただけでは、このような演奏会にはならないだろう。舞台には5台の鍵盤楽器が並べられている。まずその光景に度肝を抜かれる。今回はモーツァルト。最初の作品として有名なK1は当時一般的だったチェンバロによる演奏。幼いモーツァルトが弾いたであろう楽器演奏に思いを馳せる。次の「7つの変奏曲」はあまり実演ではお目にかかれない。10歳のモーツァルトの早熟さ、とりわけ楽器の扱いかたや凝った作りが楽器演奏を通して如実に伝わる。打弦鍵盤楽器「タンゲンテンフリューゲル」によるK283、そしてハンマーによる打弦システムのシュタイン製「フォルテピアノ」によるK330など、時代考証的、時系列的に「生」の音で検証していく。これは醍醐味。というより何とも贅沢すぎる。小倉の演奏は嬉々として、聴きなれた曲もまるで別物のように聴こえてくる。秘曲「ロンド」K511はヴィブラートをかけられる「クラヴィコード」で。あまりの弱音に耳をそばだてる。モーツァルトが晩年まで手元に置いて愛奏したという逸話も感興をそそる。小倉自身が補筆した「幻想曲」K397、そして傑作K333はウィーン式アクションを採用したヴァルター製フォルテピアノによる演奏で。より進化した楽器の特性が曲の真価を際立たせてくれる。今回が第6回となる小倉の「フォルテピアノの世界」。プログラムのテーマ性や方向性は、もはや豊潤な収穫期を迎えたような充実ぶりを痛感させるものがあった。(音楽の友2022年9月号Concert Reviewsより 齋藤弘美氏の評)