シリーズコンサート
小倉貴久子のシリーズコンサート《フォルテピアノの世界》
さまざまな時代や地域で生まれた作品を、当時のフォルテピアノで楽しいトークとともにお届けします!
エラール ・ピアノで聴くドビュッシー
2022年2月4日(金)
午後5時開演(16:20開場)
豊洲文化センター ホール
本公演は終了しました。
クロード・ドビュッシー Claude Debussy 1862-1918:
〔ピアノソロ〕〈ベルガマスク組曲〉 喜びの島 夢 〈ピアノのために〉
〔歌曲〕星の夜 〈二つのロマンス〉 マンドリン 月の光 〈忘れられし小唄〉より
〔連弾〕〈4手のための小組曲〉
フォルテピアノ:小倉貴久子
ソプラノ:野々下由香里
フォルテピアノ連弾:羽賀 美歩
使用楽器:エラール Erard(1890年 パリ)85鍵 所蔵・修復:ナトリピアノ社
全席自由 4,500円 U-25 2,500円
*U-25は、25歳以下限定のチケットです。入場時に生年月日がわかるもの(保険証・学生証など)をご提示ください。
*未就学児の入場はご遠慮ください。
[新型コロナウイルス感染予防対策について]
当公演では、市松模様状に着座可能席を設け、会場定員(300名)の半数以下の定員で開催します。
当公演は会場のガイドラインに沿って開催します。感染症予防対策についてはこちらのページをご覧ください。
New!!新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、来場に不安を感じる方を対象に、特例的にチケットの返券を条件付きでお受けします。詳細をこちらのページでご案内しています。
豊洲文化センター ホール(5階)
〒135-0061 東京都江東区豊洲2-2-18
Tel.03-3556-5061
東京メトロ有楽町駅「豊洲」駅7番出口より徒歩2分
新交通ゆりかもめ「豊洲」駅 改札フロア直結
助成:野村財団
後援:一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)/東京藝術大学音楽学部同声会
「ピアノにそっと触れ、ビロードのようなタッチで美しい鼻声でささやくように歌いながら演奏した」と伝えられているドビュッシーのピアノ演奏。ドビュッシーが学んでいたパリ音楽院には数多くのエラールがあり、そのピアノでコンサートやレッスンが行われていました。今回登場するエラールは〈ベルガマスク組曲〉が作曲された1890年にパリで製作された楽器です。1821年頃に連打が容易になるダブル・エスケープメントを発明した先進的なエラールですが、19世紀中頃にスタインウェイ社などが開発した交差弦や鋳型金属製フレームの採用には、音色を損なうという理由で否定的でした。エラール社は20世紀になっても、数本の鉄柱のみで木製のフレームを支え、低音から高音域にかけて弦を平行に張る、伝統的なピアノの製法・音色にこだわりつづけました。
幼い頃、詩人ヴェルレーヌの義母であるモテ夫人にピアノのレッスンを受けていたドビュッシー。それまでの音楽の形式や和声にとらわれない独自の音楽の世界を切り開き、色彩感や詩的ニュアンスに彩られた作品を生み出しました。ヴェルレーヌの詩集〈艶なる宴 Fêtes Galantes〉に大きな影響を受けていたドビュッシーの心の世界を、当時のエラール・ピアノで描きます。ソロ、歌曲、連弾に誘われる、雅なる夕暮れ時をお楽しみいただきます。
野々下由香里 ソプラノ
東京藝術大学大学院修了。関西フランス音楽コンクール、第4回日仏声楽コンクールともに第1位入賞。パリ・エコール・ノルマル音楽院留学中の‘89年「フィガロの結婚」ケルビーノ役でレンヌ歌劇場にデビュー。ナント、リオ・デ・ジャネイロ等国際声楽コンクールに入賞。バッハ・コレギウム・ジャパンのソリストとして国内外の公演に参加。北とぴあ国際音楽祭のバロックオペラに参加。録音は25点を超えるBCJとのCDをはじめ「月の光~エラールピアノとフランスのうた~(ピアノ:小倉貴久子)」などがある。東京藝術大学古楽科教授、お茶の水女子大学講師。フランス音楽コンクール審査員。
羽賀 美歩 フォルテピアノ連弾
東京藝術大学音楽学部ピアノ専攻卒業。同大学院音楽研究科修士課程古楽科フォルテピアノ専攻修了。第21回奏楽堂日本歌曲コンクールにて優秀共演者賞を受賞。2011年、オーストリア・クレムスエッグ城国際フォルテピアノコンクール第2位。2013年、ベルギー・ブルージュ国際古楽コンクールフォルテピアノ部門で第3位。
現在は古楽器フォルテピアノ奏者として、また器楽や声楽の伴奏ピアニストとして幅広く活動している。
〔批評〕音楽の友 2022年4月号 Concert Reviews
「フォルテピアノの世界」の第5回は「エラール・ピアノで聴くドビュッシー」。ドビュッシーのピアノ曲のみならず歌曲も織り交ぜながら多角的な視点で読み解いていくコンテンツはなかなかに興味深く意義がある。冒頭に歌曲《星の夜》。野々下由香里による丁寧で清楚な歌唱がピアノ音色とよく馴染む。ドビュッシーが聴き、弾き、作曲したであろうエラール・ピアノの響きが麗しき当時の世界へと誘う絶妙な導入である。《ベルガマスク組曲》や《夢》、《喜びの島》を弾く小倉貴久子の明快な解釈と流麗な表現は、エラールの楽器の特性を熟知した巧みな弾きぶり。とりわけ《喜びの島》は超絶的なテクニックと表現の清新さに驚かされる。これらの独奏の合間に挟み込まれた、ブルジェやヴェルレーヌの詩に付曲した歌曲との織り成す「相乗効果」は、ソロ演奏のみでは得られぬ醍醐味。ドビュッシー音楽と密接に呼応あるいは同質化していたヴェルレーヌの詩の世界が炙り出されてくるのを実感。後半では羽賀美歩との連弾による「小組曲」が、原曲のオリジナリティを赤裸々にさらけ出すような趣があり面白い。小倉のドビュッシー解釈の精確さや感性の鋭さが際立つ《ピアノのために》、そしてヴェルレーヌの詩による《忘れられし小唄》での歌唱とピアノ伴奏が完結成就したかのような瀟酒な世界観を存分に味わえたのは、何よりの収穫だった。(音楽の友2022年4月号cConcert Reviews 齋藤弘美氏による批評)
〔動画〕CD 美しいアップライトピアノ 〜連弾の悦び〜(小倉貴久子・羽賀美歩)
よりTrack No.2 C.ドビュッシー:4手のための小組曲より〈行列〉