浜松市楽器博物館 コレクションシリーズ29

月の光 〜エラールピアノとフランスのうた〜

フォルテピアノ:小倉貴久子

ソプラノ:野々下由香里

 

収録曲:

G.フォーレ:

「夢のあとに」「ゆりかご」「夕べ」

バルカロール(舟歌)第6番 作品70

C.シャミナード:

演奏会用練習曲《秋に》作品35-2

C.ドビュッシー:

《ベルガマスク組曲》プレリュード、メヌエット、月の光、パスピエ

H.デュパルク:

「フィディレ」

R.アーン:

「私の言葉に羽があったなら」「クロリスに」

E.サティ:

「ジュ・トゥ・ヴー(あなたがほしい)」

使用フォルテピアノ:エラール パリ 1874年 突き上げ式 ダブル・エスケープメント 85鍵

録音:2010年4月19日〜22日 アクトシティ浜松音楽工房ホール

発売:2011年1月

企画・制作:浜松市楽器博物館

録音・製作:コジマ録音

解説:小倉貴久子

LMCD-1924 3,190円(税込価格)

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CD:浜松市楽器博物館 コレクションシリーズ29 月の光 〜エラールピアノとフランスのうた〜

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このディスクは「レコード芸術」で特選盤。朝日新聞「for your Collection」コーナーの推薦盤。集英社クオータリー"kotoba"2011年春号のReviewクラシックで紹介されました。

 19世紀末のピアノは、構造、音色など現代のピアノとほとんど変わらないのではないかと、一般的に思われているのではないでしょうか?数年前まで私自身も、ドビュッシーやサティなどの作品を現代のピアノで演奏することに何の疑問も感じていませんでした。しかし、19世紀後期のエラールピアノは、なんと個性的でフランスの薫りに溢れていることでしょう!この頃のエラール社は、一世を風靡し始めたスタインウェイ社に代表される現代的価値観に迎合することはせず、ひたすら芸術的な響きを求め、それまでの楽器づくりにこだわったのです。

 このような音色をもつエラールピアノで、幻想的で美しい詩に彩られたフランス歌曲も録音できたら素敵だなぁ...と思っていました。ちょうど楽器博物館も時同じくしてエラールを世に紹介したいと考えておられたとのこと。そうして、フランス歌曲のスペシャリスト野々下由香里さんに歌っていただけることになり、19世紀末のフランスのサロンの雰囲気が漂うアルバムが誕生しました。

「月の光の零れるサロンでのエスプリ...」をお楽しみいただければと思います。

小倉貴久子

ショパンで名をあげたエラールだが、ドビュッシーや、フォーレ、サティらのフランス歌曲の伴奏にも最適。野々下の絶妙な歌唱でいにしえのパリのサロンの空気をたっぷりと。(朝日新聞2011年1月13日夕刊 "for your Collection"金澤正剛氏の評より)

 

・・小倉貴久子のエラール独奏ではフォーレもドビュッシーも音が生命のエランを得てたのしげに歌っている。サロン風のエレガントな洒脱さにとどまらず、曲のもつ空気感に鋭敏に反応して自由闊達。感興に乗って空気の素を魔法のように引き出し、そのなかにこんなにゆなかな色や香りが隠されていたのかとおどろき、そのなかにはてしなくひたっていたいと思うほど。これはエラールの持ち味か、彼女の天性の賜物か、見分けがつきがたい。(レコード芸術2011年2月号「新譜月評」喜多尾道冬氏の評より)